求人票に「月給25万円」と書いてある。
おっ、いいじゃない。
これなら生活も少し楽になる。
毎月の支払いにも余裕ができる。
ちょっと欲しかったものにも手が届くかもしれない。
頭の中では、すでに給料日の使い道まで決まっています。
ところが、よく読むと小さな文字でこう書いてある。
「試用期間中は月給22万円」
……あれ?
25万円という話は、どこへ行った?
#試用期間中は給料が安くてもいいの?
#試用期間なら最低賃金以下でもいい?
#試用期間が終わったら、必ず給料は上がる?
#面接で聞いてもいい? もちろんです!
#入社前に確認しておきたい5つのこと
#会社を選ぶとき、自分の価値まで値引きしない
どうやら、求人票には小さな落とし穴が付属していたようです。
しかも、入社前に気づかなければ、毎月3万円の差額が待っています。
そう言われると、なんとなく納得してしまいそうになります。
でも、ちょっと待ってください。
試用期間は、あなたの給料までお試し価格になる期間ではありません。
スーパーの試食なら、気に入らなければ買わずに帰れます。
でも仕事の場合、こちらは毎日出勤して働いているわけです。
今回は、就職前に知っておきたい試用期間と給与のお話です。
試用期間って、会社だけがあなたを試す時間?
試用期間とは、会社が採用した人の能力や勤務態度、仕事への適性などを確認するために設ける期間です。
会社からすれば、
「職場になじめそうかな?」
「長く働いてもらえそうかな?」
と確認する時間。
ただし、ここで忘れてはいけないことがあります。
働く側も、会社を見ていいのです。
「質問したら、ちゃんと教えてもらえる?」
「職場の人たちの表情が、月曜日の朝みたいになっていない?」
「この会社で長く働けそう?」
会社だけが審査員で、あなたがずっと採点される側というわけではありません。
面接では会社があなたを選びました。
でも、入社したら今度はこちらも会社を観察する番です。
会社の面接は終わっても、こちらの会社観察はまだ続いています。
なお、試用期間だからといって、正式な社員ではないわけではありません。
採用されて働き始めた時点で労働契約は成立しています。
試用期間は、法律が一時休業する期間ではありません。
法律にも、そんな長期休暇制度はありません。
試用期間中は給料が安くてもいいの?
結論からいうと、
試用期間中の給与を本採用後より低く設定することが直ちに違法になるわけではありません。
例えば、こんな条件です。
| 項目 | 月給 |
|---|---|
| 試用期間中(3か月) | 22万円 |
| 本採用後 | 25万円 |
このように、試用期間中と本採用後で給与が異なることはあります。
ただし、大切なのは、入社前に条件がきちんと示されていること。
- 試用期間中はいくらなのか
- 本採用後はいくらになるのか
- いつから給与が変わるのか
- 試用期間は何か月なのか
こうしたことを確認しておく必要があります。
「入社してから説明します」
「働きぶりを見て決めます」
「うちは最初、みんなそうだから」
このあたりの説明で済まされそうになったら、もう一歩踏み込んで確認しましょう。
「みんなそうだから」は、説明ではありません。
給料は、会社の気分や社内の伝統芸能で決まるものではありません。
こちらの家賃も、会社の都合に合わせて値下げしてくれるわけではないのです。
試用期間なら最低賃金以下でもいい?
これは、ぜひ覚えておいてください。
試用期間中であっても、
原則として最低賃金は守らなければなりません。
一定の条件を満たし、
都道府県労働局長の許可を受けた場合、
最低賃金の減額特例が認められることがあります。
しかし、会社が勝手に「試用期間だから安くていい」と決められるわけではありません。
試用期間という言葉は、最低賃金を無視できる魔法の呪文ではありません。
試用期間が終わったら、必ず給料は上がる?
ここも確認しておきたいところです。
そう説明されていたら、次の点も確認しておきましょう。
- 試用期間は何か月なのか
- 試用期間終了後の給与はいくらなのか
- 本採用の判断基準は何か
- 試用期間が延長される可能性はあるのか
- 延長される場合、どのような理由や条件なのか
特に注意したいのが、試用期間の延長です。
会社が自由に何度でも延長できるわけではありません。
延長には合理的な理由や根拠が必要で、契約内容や就業規則なども確認する必要があります。
会社としては慎重に判断したいのでしょう。
でも、働く側からすれば、いつ終わるのか分からない試用期間は、出口の見えないトンネルです。
しかも、トンネルを歩いている間も、家賃と光熱費は通常営業。
電気代に「試用期間なので3割引き」という制度はありません。
試用期間が延びるなら、理由や期間、給与への影響もきちんと確認しましょう。
面接で聞いてもいい? もちろんです!
試用期間中の給与について質問すると、
と心配する人もいるかもしれません。
でも、働く条件を確認するのは当然のことです。
むしろ、聞かずに入社して、初めての給与明細を見てから驚く方が大変。
給与明細は、入社後に届く謎解きゲームではありません。
面接では、こんなふうに聞いてみましょう。
- 「試用期間中と本採用後では、給与に違いがありますか?」
- 「試用期間は何か月で、終了後はどのような基準で本採用になりますか?」
- 「試用期間が延長される場合は、どのような条件になりますか?」
聞きにくいと感じるかもしれませんが、質問することはわがままではありません。
これから働く場所を選ぶための、大切な確認。
会社があなたを選ぶように、あなたも会社を選んでいます。
就職は、働く時間も、体力も、経験も、あなたが提供するもの。
条件を確認するのは、取引の前に値段を見るのと同じ。
入社前に確認しておきたい5つのこと
最後に、試用期間について確認しておきたいポイントをまとめます。
① 試用期間は何か月?
3か月なのか、6か月なのか。期間を確認しましょう。
「しばらく」という言葉は便利ですが、給与の話では少々困ります。
② 試用期間中の給与はいくら?
本採用後の給与と違いがあるか確認します。
求人票の月給だけを見て、頭の中で使い道を決めるのは、まだ早いかもしれません。
③ 社会保険などの加入条件は?
試用期間中でも、加入要件を満たせば社会保険などの対象になります。
「試用期間だから加入しない」という説明だけで納得せず、加入条件を確認しましょう。
④ 本採用の判断基準は?
何を基準に本採用を判断するのか、確認しておきましょう。
「会社が判断します」だけでは、判断材料が見えません。
⑤ 試用期間の延長はある?
延長の可能性があるなら、その理由や条件も確認しておくと安心です。
そして、求人票だけでなく、労働条件通知書や雇用契約書も確認してください。
口頭で聞いた話と書面の内容が違う場合は、そのままにせず確認しましょう。
会社を選ぶとき、自分の価値まで値引きしない
就職活動をしていると、どうしても「採用されること」が大きな目標になります。
最初から条件について質問したら、印象が悪くなるかもしれない。
そんな気持ちになることもあるでしょう。
でも、ちょっと考えてみてください。
会社は、あなたの能力や経験を見て採用を決めています。
あなたも、会社の仕事内容や待遇、職場環境を見て入社を決めていいのです。
採用通知をもらった瞬間に、会社の言うことをすべて受け入れる契約まで成立したわけではありません。
採用されたからといって、
自分の価値まで値引きする必要はありません。
試用期間は、会社があなたを見極める期間であると同時に、あなたが会社を見極める期間でもあります。
働く条件を確認することは、自分を守ること。
入社することだけをゴールにせず、納得して働き続けられる職場を選んでいきましょう。
なにしろ、試用期間が終わったあとも、人生の勤務時間はまだまだ続くのですから。
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