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30年以上の多業種経験をもとに、個人と組織の「本来の力」を引き出します。

求人票で「月給28万円」という文字を見つける。

おっ、いいじゃない!

これなら生活にも少し余裕ができそう。
欲しかったものも買えるかもしれない。
毎月の貯金だって、ちょっと頑張れそう。

頭の中では、
まだ採用も決まっていないのに、
すでに家計の見直しが始まっている。

ところが、その給与欄をよく見ると、小さく書かれた文字がある。

「固定残業代を含む」

……ん?

28万円って、全部が基本給じゃないの?

そうなんです。
求人票の数字には、ちょっとした仕掛けがあることがあります。

今回は、就職活動中に知っておきたい「固定残業代」のお話。

知らないまま入社して、
初めて給与明細を見たときに「あれ?」となるのは避けたい。

仕事を覚える前に、
給与の謎解きから始める必要はありませんからね。


そもそも、固定残業代って何?

固定残業代とは、
あらかじめ決めた一定時間分の残業代を、
毎月の給与に含めて支払う仕組みです。

例えば、こんな給与条件だったとします。

項目 金額
基本給 23万円
固定残業代(30時間分) 5万円
月給合計 28万円

つまり、
月給28万円のうち、
5万円は残業代として設定されているわけです。

ここで気になるのが「30時間分」という数字。

これは、30時間まで残業代を払わなくていいという意味ではありません。

実際の残業が10時間だったとしても、
原則として決められた固定残業代は支払われます。

反対に、
40時間残業した場合は、
30時間を超えた分について追加の割増賃金が必要です。

そう。

固定残業代は、
残業し放題のフリーパスではありません。

会社が用意しているのは、あくまで一定時間分の残業代。

時間無制限のブラックカードではないのです。


その28万円、全部が基本給だと思っていませんか?

ここは、ぜひ覚えておいてほしいところです。

求人票に、

「月給28万円(固定残業代を含む)」

と書かれていたら、次のことを確認してみましょう。

  • 基本給はいくら?
  • 固定残業代はいくら?
  • 何時間分の残業代?
  • その時間を超えたら、追加で支払われる?

固定残業代を採用する場合、

  • 求人票には基本給と固定残業代の金額
  • 対象となる時間数
  • 超過分を別途支払う

ことなどを明示する必要があります。

単に「月給28万円」と書いてあれば、
それで説明完了というわけではありません。

例えば、同じ月給28万円でも、基本給28万円の会社と、基本給23万円に固定残業代5万円を加えた会社では、給与の構成が違います。

求人票の数字は、見た目が同じでも中身まで同じとは限らないのです。

スーパーで買い物をするときは、
値札だけでなく内容量も見るのに、
求人票になると月給の数字だけで判断してしまう。

なぜか人間は、魅力的な数字に弱いものです。


入社してから「残業代が出ていない!」と気づいたら?

ここからは、少し大事な話。

固定残業代は、会社が「うちは固定残業代を採用しています」と言えば、それだけで有効になるものではありません。

  • 基本給と残業代が明確に区別されているか。
  • 何時間分なのかが分かるか。
  • 決められた時間を超えた分が、きちんと支払われているか。

こうした点が重要になります。

もし固定残業代としての支払いが法的に認められなければ、会社が残業代を支払ったつもりでも、未払い残業代が発生する可能性があります。

つまり、働く側からすれば、本来受け取るべきお金が支払われていなかったということ。

毎日出勤して、仕事をして、残業もしている。
それなのに、働いた時間に見合うお金が正しく支払われていなかったら?

頑張った時間が、会社の給与計算の都合で消えてしまう。

そんなことになってほしくありません。

ちなみに、未払い残業代の請求権については、現在、原則として3年間の時効期間が適用されています。

退職してから気づくこともありますが、できれば働いているうちから給与明細や勤怠記録を確認しておきたいところです。

「毎月給料が振り込まれているから大丈夫」
残念ながら、それだけでは判断できません。

振り込まれた金額と、正しく計算された金額は、必ずしも同じとは限らないからです。


面接で給与のことを聞いてもいいの?

もちろんです。

でも、こんなふうに思う人もいるかもしれません。

「お金のことばかり聞いたら、印象が悪くならないかな……」

分かります。

採用してもらいたい気持ちがあると、質問すること自体に遠慮してしまうことがありますよね。

でも、ちょっと考えてみてください。

会社は採用する人を選びます。
働く側も、働く会社を選びます。

就職は、会社から一方的に選んでもらう試験ではありません。
これから自分の時間と能力を提供する場所を決める、大切な選択です。

給与の条件を確認することは、決して失礼ではありません。

例えば、こんな聞き方で十分です。

  • 求人票に固定残業代を含むとありますが、基本給と固定残業代の内訳を教えていただけますか?
  • 固定残業代は何時間分でしょうか?
  • その時間を超えた場合は、別途残業代が支給されますか?

これなら、落ち着いて確認できます。

質問することは、会社を疑うことではありません。
自分が安心して働くための確認。

むしろ、入社してから「そんな話、聞いていません」となる方が、お互いに困ります。


入社前と入社後、自分を守るために確認したいこと

では、実際に何を確認すればいいのでしょうか。

難しく考える必要はありません。

まずは、この5つです。

① 基本給はいくら?

月給の総額ではなく、
固定残業代を除いた基本給を確認しましょう。

② 固定残業代はいくら?

毎月の給与のうち、
残業代として設定されている金額を確認します。

③ 何時間分?

20時間なのか、30時間なのか。
時間数を確認しましょう。

④ 超えた分はどうなる?

固定残業時間を超えて働いた場合、
追加の残業代が支払われるか確認します。

⑤ 実際の残業時間はどれくらい?

固定残業代が30時間分だからといって、
必ず毎月30時間残業するとは限りません。

反対に、固定残業代の時間数が少なくても、実際の残業時間が多い職場もある。

「平均残業時間はどのくらいですか?」と聞いてみるのもOK。

そして、入社後は給与明細と勤怠記録を確認する習慣をつけておきましょう。

給与明細は、銀行口座への振込金額を確認して終わりにするものではありません。
自分の働いた時間と、お金の関係を確認する大切な資料です。


就職することがゴールではない

職業訓練で学び、資格を取り、履歴書を書き、面接の練習をする。

就職に向けて頑張ることは、たくさんあります。
だからこそ、早く就職先を決めたいと思うこともあるでしょう。

でも、忘れないでほしいことがあります。

会社に採用してもらうことが、
就職活動のゴールではありません。

自分が納得して働ける会社を見つけることがゴールです。

仕事内容も大切。
人間関係も大切。
休日や通勤時間も大切。

そして、給与の仕組みも大切です。

仕事を覚えることも、資格を取ることも、もちろん必要。
でも、自分の給料を守る知識も、立派な仕事のスキルです。

会社に入る前から、何でも知っている必要はありません。
ただ、分からないことを分からないままにしないこと。

  • 聞いていいことは聞く。
  • 確認できることは確認する。
  • おかしいと思ったら、一人で抱え込まない。

それだけでも、自分を守る力になります。

求人票の「月給28万円」に喜ぶのは、内訳を確認してからでも遅くありません。

自分の人生の見積書。
金額だけでなく、中身まで確認しておきましょう。

 


 

 

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